- 2024年4月15日
日焼け止めを塗りましょう。

この写真は皮膚科医の中ではとても有名な画像で、28年間トラック運転をしていた方の顔です。
海外なので左ハンドルで運転し、左側の窓から入る紫外線で皮膚がダメージを受けた結果、左の顔面の光老化がすすんだのでしょう。
光老化という言葉をご存知でしょうか。顔のしわやシミは加齢に伴って出てきますが、加齢だけでなく紫外線も皮膚を老化させる原因になります。日光が当たりにくいお腹や太ももに、顔にできるような深いしわやシミはあるでしょうか。おそらく顔よりはるかに少ないと思います。紫外線により皮膚が長年ダメージを受けた結果であり、紫外線を避けることで光老化もある程度予防できます。
また、有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫などの皮膚癌は紫外線を長年浴びると発症する可能性が高くなります。皮膚癌は体のどこにでもできますが、紫外線が良く当たる部位にできるのは皮膚科医の中では常識です。
是非日焼け止めを使って下さい。目に見えて効果は表れませんし、塗る習慣がないと毎日塗るのは面倒ですが、自身の努力で将来の皮膚癌発症リスクを下げられる可能性があります。
紫外線は3-4月から強くなり始めます。

「日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ」(気象庁ホームページより)
私は3月中旬から10月まで、日焼け止めを塗っています。紫外線を浴びるのは朝夕の通勤時間と土日外に買い物や子供と遊ぶときくらいですが、その期間は毎日塗っています。普段皮膚癌の手術を良く行っているので、少しでも発症を予防できるならと思います。
日焼け止めは病院やクリニックで処方できないので、ドラッグストアなどで購入する必要があります。日焼け止めの性能を表すものにSPFとPAがあります。それぞれ紫外線の中のUVB、UVAを防御する指標で、SPFは数字で、PAは+の数で示されており、数字が大きいほど、+の数が多いほど防御能が高いことを示します。SPFが高ければPAも高い商品が多いです。屋外で仕事や運動をされる方は、SPFは20-30以上でPAは+++のものがよいでしょう。塗るときはべたつきを感じるくらい多めに塗り、耳や手の甲、うなじも忘れないように塗りましょう。また、日中外にいる場合はこまめに複数回塗りたいところです。
顔の写真は医学界では有名な医学雑誌に掲載された論文から引用しました。
Gordon JR, Brieva JC. Images in clinical medicine. Unilateral dermatoheliosis. N Engl J Med. 2012;366(16):e25. doi:10.1056/NEJMicm1104059
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